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馬鹿野郎と馬鹿者

たとえそれが正義だとして、たとえそれが後々の人生であやまちであったと見做されるものだったとして、それでもリキウスとレイミアの平和な幸福を打ち壊す権利がアポロニオスにはあったんだろうか?師として、主人公として。彼がそれを持つと作家の心は言うかもしれない。でも局所的かつ局地的な目でリキウス個人の人生のその時期を観察するなら、そんな不当な正義を振り翳すアポロニオスは主人公どころか一片たりとも正義を持っていない敵に見える。まやかしの幻だとしても自分たちの幸福な物語を破局させようとする人間など……。他人の物語にずけずけと上がり込んで自分の物語の聖剣のスケールでその物語を破綻させるような奴を馬鹿者と呼ばずしてなんと呼ぼう。

2021/07/20

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